
C.S.R値とは・試験のお申込み・測定事例
JIS A 1454:2022より、試験の目的を明確にするため,床材の“滑り性試験について”から“滑り抵抗係数数を試験によって求め,床材の滑りにくさを試験する方法”に変更されました。
滑り抵抗係数(C.S.R)測定のご注文
製品試験・サンプル試験・工事・施設管理・愛犬のすべり等・・・様々な条件・場所での測定可能です。
試料をお預かりして行う「試料測定」と、現地にお伺いして実際の床材のCSR値を測る「現地測定」がございます。
これまで、3000枚を超える試料のC.S.R測定と、全国各地の現場でC.S.R測定を行ってきました。
豊富な知識と経験により、皆様のあらゆるご要望ににお応えできます。
実際の滑り抵抗係数(C.S.R値)測定
実際にC.S.R測定のご依頼を受けた一部をご紹介いたします。
履物着用の場合の滑り抵抗係数C.S.Rについて
耐滑り性試験となる滑り抵抗係数(C.S.R)測定は東京工業大学で研究開発されたもので、他の試験方法に比べ、人が歩いた時の感覚を最も忠実に数値化できるといわれています。 (C.S.R:Coefficient of Slip Resistance)

国に先立ち2009年「東京都福祉のまちづくり条例」には、必要な整備としてJIS A 1454に定める試験機「O-Y・PSM」で測定したすべり抵抗係数(C.S.R)を用いるとされ、使用条件、材料・仕上げ、滑りの差について記されました。
その後、2012年に国土交通省がバリアフリー新法、正式名称「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律▶」ガイドラインを改訂、「主な改訂内容としては、これまで記載されていなかった床の滑りに係る評価指標及び評価方法等について記述を充実した・・・」と謳われ、履物着用の場合の評価指標として「床のすべりについて、評価指標はJIS A 1454に定める床材の滑り性試験によって測定される滑り抵抗係数(C.S.R)を用いる。」と記されました。
これに、各県や製造者・施工者・施設管理者等が倣い、現在では人が歩行する場所(履物を着用)での滑り抵抗値は「C.S.R値」で管理されるようになっています。
また、移動経路、施設・設備等に関するガイドラインにおいては「床の仕上げは、床面は滑りにくい仕上げとする。」と記されています。その「滑りにくい」の根拠を求めC.S.R値を測定することになります。
※水濡れした浴室床等を素足で歩行する場合を想定した評価指標は「CSR・B値▶」となります。
BPNとC.S.Rの違いについて・・・
舗装道路で車輌がブレーキをかけたとき適切な距離内で停止できるように、十分な摩擦を与える混合物の表面能力のことで、アスファルト量が多すぎると急激にすべりやすくなります。アスファルト混合物やセメントコンクリートで舗装した、路面のすべり抵抗性を測定する方法の1つが英国の道路研究所で開発された試験器(ポータブル・スキッド・レジスタンス・テスター)で測定するBPN値(すべり抵抗値)です。
すべり抵抗性能は、走行車両の安全性を担保する性能要件であり、この試験で得られるBPNは、一般には自動車の走行速度30 マイル(約50km)/hの横滑り摩擦係数と相関があるといわれています(路面が濡れた状態)。BPNの呼び名はBritish Pundulum Numberからきており、規格としては、ASTM E303及び舗装施工便覧等に規定されております。
簡易測定が可能である英国式ポータブル・スキッド・レジスタンス・テスターで測定するBPN値については、各自治体の施設整備マニュアルなどに採用されている場合がありますが、測定方法、基準値ともにISO規格、JISに盛り込まれていないこと、本来、BPNは車道(アスファルト)に対する性能試験であり、C.S.R値との相関性は確認されておりません。
製造者・施工者・管理者としての安心と責任
現在では、製造者・施工者・施設管理者の皆様は、バリアフリー法ガイドライン(下記参照)等の推奨値を上回る商品開発・施設管理を当然のごとく行うようになりました。その背景には、一たび転倒事故が起これば係争に至るケースが増えているという事実にも一因があると思われます。
CSR測定を床面の健康診断と捉え、定期的にそれを管理することが利用者の安全、施工者・施設管理者の責任として非常に重要となります。

C.S.R測定の重要性が何となく分かりました!

万が一転倒事故が起きた際にC.S.R値を管理していないと・・・
管理者責任・製造者責任・善管注意義務違反等に問われる可能性もあります。

C.S.R値を管理することは歩行者(利用者)の安全をまもるだけで無く、万が一の際には管理者等が問われるリスクを回避する事になりますね!

はい、そのとおりです! 【みんなをまもる】事になるのです。
バリアフリー法ガイドラインでは
ー 抜粋 ー
・床の材料及び仕上げは床の使用環境を考慮した上で、高齢者、障害者等が安全かつ円滑に利用できるものとする。
(1)履物着用の場合の滑り
① 評価指標
・床の滑りの指標として、JISA 1454(高分子系張り床材試験方法)に定める床材の滑り性試験によって測定される滑り抵抗係数(C.S.R)を用いる。
② 評価方法
・床の材料・仕上げは、当該部位の使用条件を勘案した上で、表-1の滑り抵抗係数の推奨値(案)を参考にして適切な材料・仕上げとすることが望ましい。
■表-1 履物着用の場合の滑り 日本建築学会※の推奨値(案)
床の種類 | 単位空間等 | 推奨値(案) |
---|---|---|
履物を履いて動作する床、路面 | 敷地内の通路、建築物の出入口、 屋内の通路、階段の踏面・踊場、 便所・洗面所の床 | C.S.R=0.4 以上 |
傾斜路(傾斜角:θ) | C.S.R-sinθ=0.4 以上 | |
客室の床 | C.S.R=0.3 以上 |
(2) 素足の場合の滑り(※ここでは大量の水や石鹸水などがかかる床を想定)
① 評価指標
・床の滑りの指標として、JIS A 1509-12(陶磁器質タイル試験方法-第12部:耐滑り性試験方法)に定める耐滑り性試験方法によって測定される素足の場合の滑り抵抗値(C.S.R・B)を用いる。
② 評価方法
・床の材料・仕上げは、当該部位の使用条件を勘案した上で、表-2の滑り抵抗値の推奨値(案)を参考にして適切な材料・仕上げとすることが望ましい。
留意点:大量の水や石鹸水などがかかる床以外における素足の場合の滑り
・一般に、素足で歩く可能性はあるが大量の水や石鹸水などがかからない床では、素足より靴下の方が滑りやすい場合が多いことから、すべり片を靴下としたC.S.R値で安全側に評価できる可能性が高い。
■表-2 素足の場合の滑り 日本建築学会※の推奨値(案)
床の種類 | 単位空間等 | 推奨値(案) |
---|---|---|
素足で動作し大量の水や石鹸水 などがかかる床 | 浴室(大浴場)、プールサイド シャワー室・更衣室の床 | C.S.R・B=0.7 以上 |
客室の浴室・シャワー室の床 | C.S.R・B =0.6 以上 |
(3)滑りの差
・突然滑り抵抗が変化すると滑ったりつまずいたりする危険が大きいため、同一の床において、滑り抵抗に大きな差がある材料の複合使用は避けることが望ましい。
バリアフリー・ユニバーサルデザイン(国土交通省HP)
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/index.html
C.S.R/C.S.R・Bについての記載がある書籍

国土交通省
高齢者、障害者等の円滑な移動に配慮した建築設計標準
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutakukentiku_house_fr_000049.html

東京都
東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアル
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kiban/machizukuri/manual.html
C.S.R値の測定方法について

東京工業大学研究所「OY・PSM測定機」
私たちは客観的な立場でC.S.R(すべり抵抗係数)を測定し、報告書(見本PDF)▶として書面、若しくは電子データでお届けいたします。
床・路面のすべり測定については、JIS A 1454に規定される試験機「O-Y・PSM」と同等の試験機として使用可能な携帯型滑り測定機「ONO・PPSM」(JIS A 1454:2010 解説 6 a)に記載) で行い、測定値をC.S.R’と表記します。これはどちらの測定機を用いたのかを便宜上区別するもので、「O-Y・PSM」=C.S.R、「ONO・PPSM」=C.S.R’としています。C.S.R’値=C.S.Rとなります。
弊社のC.S.R測定では、試料表面の状態にご指定が無い場合には、乾燥し清掃した状態、及び湿潤状態(介在物:水道水)で測定しております。
ダスト/水+ダスト/油散布等の測定も行っておりますので詳細ページより▶ご確認ください。
※ダストを用いて試験を行った場合には、測定対象箇所に微細な傷が残る事をご了承ください。
注)すべり抵抗試験(C.S.R値)について、客観的にご指定場所、試料を測定するものであり、施設や床材の安全・危険の評価はいたしません。
主な床(路面)のすべり測定試験機

ONO・PPSM測定機
【すべり抵係数(C.S.R)】
数値表示単位:C.S.R’
床面と接触する面積が30c㎡のすべり片に、20㎏の荷重をかけて斜め上に引っ張り、滑り抵抗係数を測定する。

スキッド レジスタンス テスター
【動摩擦係数(DCOF)】
数値表示単位:BPN
振り子の先にゴム製のスライダーを取り付け、振り下ろされたときのスライダーが、測定面を通過するときの抵抗を読み取る。

スリップメーター測定機
【静摩擦係数(SCOF)】
数値表示単位:μs
測定対象面に接触子を介して鉛直方向から荷重を加え徐々に加圧シャフトを傾け、接触子が滑り始めた角度をθとして摩擦係数μsを表示。
このほかにも、すべり抵抗試験には様々な評価方法がありますが、歩行時のすべりについては、国土交通省がC.S.R値を採用した事により、歩行時のすべり抵抗値は各県等でもC.S.R値での管理となりました。従いまして、弊社といたしましてもすべり測定につきましては、C.S.R値のみの取扱とさせていただきます。(BPNの測定は行っていません。)
社会現象となった「滑り事故」―その原因について各方面にて研究されておりますが、未だ、科学的な根拠に基づく「滑り危険度」数値は統一したものがありません。これは、世界的に見ても意見が分かれているそうです。
良くあるスリップとは、走っている車が急に制御不能になるような現象と、凍結した坂道を車が登れないといこととに大別できるそうです。これを人間の歩行に当てはめたときどういうことが言えるかというと、踏み込みの足で滑るか、蹴り足で滑るかの違いだそうです。つまりは、動こうとする物と止まろうとする物とでは必要な摩擦抵抗の基準値が違うということです。また、床面だけの問題ではなく、その物体の速度、質量、接地面積、進入角度、乾湿状態などにより大きく左右されるため、数値で床の安全を評価するのは難しいと言われています。
ペットの安全性からみたすべりの評価
■小型犬の動作に必要な床のすべり抵抗係数(C.S.R・D’)
愛犬家の皆様が心配する床のすべりによる骨折・脱臼・股関節形成不全など・・・
フローリング等のすべり抵抗値を、現地に伺っての測定や材料段階での測定も受け付けております。
詳細につきましては、お気軽にお問合せください。
C.S.R・D’が0.676以上の床では99.9%の小型犬が支障なく動作できるという研究結果が発表されています。

読んで後悔? 読まずに後悔?
今では事故のあった現地で事故状況を再現した正確な測定ができるようになっています。「滑りを数値化できる」とは、危険の責任所在を明確にできるということです。
「滑り=責任」は客観的に判断できるのです。
「事故が起こらないよう」、そして万が一事故が起こったときにも施設側には非がないことを主張できるよう床に対する管理を行いましょう。