ワンちゃんのための…すべり測定(C.S.R・D’)
小さな家族が床のすべりによる骨折、脱臼、股関節形成不全などになる前に、ご自宅フローリングについて考えてみませんか?

C.S.R’値とC.S.R・D’値は別物ですか?

はい。異なりますので少しご説明します。
C.S.R・D’の測定方法

C.S.R・D’を計測する際には、肉球のやわらかさを模擬した発泡ゴムシートに毛の影響を模擬した麻織物をかぶせた滑り片を用います。また、C.S.R’測定の際の鉛直荷重は20Kgですが、C.S.R・D’を測定する場合には5Kgの鉛直荷重となります。
これは、日本建築学会構造系論文集「ペットの安全性から見た床のすべりの評価方法」で発表されています。

なるほど!

測定方法が異なるのです。

小さな家族の事も考えてやらないとなぁ…
小型犬の動作に必要な床の滑り抵抗の提示(論文) https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijs/78/690/78_1359/_pdf
愛犬の多くのけがは室内のフローリングが原因

ワンちゃんといっしょに住むお家のお悩み箇所、そのダントツの1位がフローリング。ツルツルすべることによる、ケガや関節病の不安を中心に、多くの飼い主さんが「どうにかしたいが、正しい解決方法がわからない…」と、頭を悩ませています。
フローリングのすべりが原因となる、代表的な犬の関節病
膝蓋骨内方脱臼
罹りやすい犬種:トイ・プードル、ヨークシャー・テリア、プードル、ほか
後脚の膝の骨(膝蓋骨)が内側にずれ、進行すると歩行も困難に。肥満や高いところから飛び降りた際の衝撃も原因に挙げられますが、もっとも多いのは、室内飼育における床のすべり。トイ・プードルをはじめ、多くの小型犬に見られる病気です。気づかずにそのまま放置、運動させていると、前十字靭帯断裂を併発することもあります。
椎間板ヘルニア
罹りやすい犬種:ミニチュア・ダックスフンド、ウェルシュ・コーギー・ペンブローク、フレンチ・ブルドッグ、シー・ズー、ビーグルなど
背骨の間にある椎間板が飛び出し、神経を圧迫する病気で、慢性的に進行する場合もありますが、ほとんどは突発性で、進行すると脚がマヒし、立つことすらできません。さらに、椎間板が神経細胞に刺さり、脊髄軟化症を発症してしまうと、一週間ほどで命を落としてしまいます。特に軟骨異栄養犬種と呼ばれる、椎間板内の水分が脱水しやすい上記の犬種は、すべる床には何らかの対処を講じてください。
股関節形成不全
罹りやすい犬種:ポメラニアン、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ボーダー・コリーなど
股関節が緩み、炎症による痛みなどで歩き方にも異常が表れます。遺伝性の発症は大型犬には多く見られますが、中・小型犬の場合は、その多くが床のすべりなどの、環境的な原因によるものです。遺伝性の場合は関節を人工のものに置き換えるなどの手術が止むを得ないケースもあり得ますが、環境を整え、関節に負担をかけさせないように努めることが、何よりの予防です。
レッグ・ペルテス病
罹りやすい犬種:トイ・プードル、ヨークシャー・テリア、成長期の犬など
骨盤と接する側の大腿骨の先端が壊死する病で、特に小型犬の成長期に多く表れます。遺伝性のものとも考えられていますが、床のすべりが原因あるいは助長させてしまうケースもあります。一度かかってしまうと、治療は手術以外に方法がなく、壊死した部分を切除したり、関節を人工のものに置き換えるなどの処置を施します。
C.S.R・D’が0.676以上であれば、99.9%の小型犬が支障なく動作
上記のように犬の関節トラブルの70%近くは滑りやすい床の上で生活を送る事によって起きているともいわれています。東京工業大学 建築学科 小野研究室の調査によると、人が歩くうえで最も最適な滑り抵抗係数(C.S.R)値は0.68とのことです。また、犬は滑り抵抗係数(C.S.R・D’)値が0.676以上であれば、ほとんどの小型犬は動作に支障なく生活できる調査結果があります。
※C.S.R’値とC.S.R・D’値は測定方法・数値共に異なります。